CIのコーヒー生産地への支援
自然と人々の暮らしを守るための保全活動
CIは、1996年より生物多様性ホットスポットにおいて、コーヒー生産に着目した保全戦略に取り組み始めました。
「現地住民の生活向上と生物多様性保全の推進を同時に目指した方法で生産・加工・流通するコーヒー」を生み出す、環境保全活動です。
森林を守るためには、より持続可能な形の生計手段が確立できるよう、現地の人々を支援することが必要です。
コーヒーは、森林の日陰を利用して栽培ができる数少ない樹種の一つ。森林を守りながら、コーヒー生産を営む技術を支援すれば、現地の人々の生計の向上と地域の環境保全に貢献できます。
生態系を守るために
コーヒー生産地とホットスポット
生物多様性は、わたしたちの生活を根底から支え、様々な恵みをもたらすものです。
地球上に均一に存在しているわけではなく、生物多様性ホットスポットと呼ばれる、一部の地域に集中しています。
しかし、これらの地域の生態系は、現在もっとも破壊の危機にさらされています。
[ 世界の主なコーヒー生産地とホットスポット ]
新しい保全手法の開発(CCBP)
コーヒー生産地の生態系と人々の暮らしを守るために
CIでは、コーヒー生産地の生物多様性と生産者の生活を守り、コミュニティの生計向上に取り組むための手法として、コンサベーション・コーヒー・ベスト・プラクティス(CCBP)を開発しました。 CCBPは、各ホットスポット内のコーヒー生産地で環境・社会的に配慮すべき項目について、各地域の現状やニーズにあわせて開発したガイドラインです。
生物の保全
自分のコーヒー農園内に残された森林を守ることを大前提とし、森林伐採は禁じられています。荒廃地には再植林をするなど、コーヒー農園内の植生を豊かにするための農園計画を作成します。野生生物を保全することの重要性に関わる環境教育が行われ、農園内での狩猟は禁じられています。
(シェイドグロウン)農法
各コーヒー生産地における在来種や固有種を、シェイドツリー(日陰を作るための木)としてコーヒー農園に植え、コーヒー農園内の植生の多様化に努めています。この結果、CCBPに参加する農園は、一見して森のように見える所も多く、多くの絶滅危惧種も訪れます。
化学肥料管理
農家との協議に基づき、参加時から徐々に農薬や化学肥料の使用を減らしていくための計画を立てます。日陰栽培農法は、様々な樹木からの落ち葉が自然の肥料となり、徐々に化学肥料を減らしていくことが可能です。農薬は種類や使用頻度を定めます。CCBPに参加し、努力を継続した結果、有機認証を獲得した農園も数多くあります。
農園計画に基づき、農薬や化学肥料を減らすことで、農園内の土壌を改善させることを目指します。また、農園内の土壌侵食を防ぐために、傾斜地や農園の境界部分に固有の樹種を植林するなど、各農園の状況に沿った努力を実施しています。
各コーヒー生産地で定められた労働上の法律を守り、コーヒー農園内で働く人々の生活を守ります。地域ぐるみで助け合いながら、農園の子供が通える学校を設置したり、教師を派遣するなどの取り組みも行っています。
コーヒー生産では、コーヒーの精製過程において大量の水を利用します。参加農園では、使用後の水を近隣の川や池等に流出させず、様々な段階を経て浄化し、浄化した水の再利用に取り組む農園もあります。
農園での省資源・省エネルギーの実施に向けた計画をたて、実施します。
農園内で使用するボイラーにコーヒー農園内の間伐材を利用するなどの取り組みも見られます。
農園内の廃棄物処理を厳しく管理します。また、収穫後のコーヒーの実の果肉部分をコンポストを利用して堆肥とし、コーヒー農園で再利用する試みを推進する地域もあります。
これらの地域では、果肉を届けた農家に対し、量に応じ現金を還元するなどのインセンティブ形成にも取り組んでいます。
農園内や周辺域の荒廃地に、在来種や現地固有種を再植林することで、コーヒー農園と残された森をつなぐことを目指します。CIが事前に提供する地理的情報に基づき、計画的に荒廃地を回復し、原生林とコーヒー農園を効果的につなぐ試みが実施されます。
CIとともに接続可能なコーヒー・プログラムに取り組んだ農家に対し、地域の環境や人々の生活を守り続ける事に対するインセンティブを還元し、収穫されたコーヒーの付加価値が認識され、流通するよう、現地輸出業者やコーヒー市場の様々なパートナーと協働しています。
CIのコーヒー・プログラムに参加した農家のコーヒーとして流通させるために、コーヒー農園や組合、現地輸出業者パートナーとの協働により、トレーサビリティの確立に取り組んでいます。
生態系の回復を目指す森林保全活動
コーヒー生産を利用した生態系コリドープログラム
コスタリカとパナマの事例
コスタリカとパナマの国境をまたがり拡がる中米最大の自然保護区ラ・アミスタッド生物圏保護区は、複数の自然保護区や先住民居住地区を含む、生物多様性の豊かな地域です。
保護区の緩衝地帯の主要な経済活動のひとつは、コーヒー生産で、農園での労働力である約3万人の先住民族を含む、地域の人々の生計を支えています。このプロジェクトでは保護区周辺のコーヒー農園に、シェイドツリーを利用した日陰栽培農法を取り入れ、環境や人権に配慮したコーヒー生産方法に取り組んでいます。
また、現地固有種を利用した森林再生をコーヒー農園周辺の荒廃地に実施し、コーヒー 農園と森林を生態系コリドーとしてつなぎ、絶滅危惧種を含む様々な生物種を保全することを目指しています。
コーヒー業界の新しいリーダーシップ
企業とのパートナーシップ
ガイドラインの策定
新しい買い付け基準 「C.A.F.E.プラクティス」
「C.A.F.E.プラクティス」は、生産者の労働環境の改善、児童労働の規制をはじめ、土壌侵食や汚染防止などの生物多様性の保全に対する取り組みを含めた包括的かつ測定可能な基準です。
あなたの身近にあるCIが支援したコーヒー
スターバックス社は、CIのコーヒー・プログラムへの支援を通し、コーヒー農家に対する財政的・技術的支援を実施しています。コーヒー生産地への直接的支援により環境や経済的恩恵を生み出すと同時に、保全活動が行われている地域で生産されたコーヒーを、実際に消費者に届けることが可能になりました。
メキシコで生産されたコーヒーは、現在「シェイド グロウン メキシコ」としてスターバックス コーヒーの国内店舗(コーヒー豆取り扱い店舗のみ)で販売されています。
http://www.starbucks.co.jp/csr/ethicalsourcing/conservation_coffee.html
UCC上島珈琲株式会社とCIは、2008年より日本におけるCIのコーヒー・プログラムで生産されたコーヒーの販売・普及に関わるパートナーシップを開始致しました。
業務用、一般用の製品販売に加え、エコプロダクツ展等、各地イベントにおいて、生物多様性ホットスポット地域におけるコーヒーの取り組みの重要性を啓発しています。
世界のコーヒー・プログラム
CIのコーヒー・プログラムは、現在までに以下の5カ国におけるコーヒー生産農家との協働により実施されました。
各国のコーヒー生産地が抱える環境的・社会的課題の向上に貢献してきました。
各国の活動に関する詳しい内容は、以下よりご覧下さい。
コンサベーション・インターナショナル・ジャパンへのお問い合わせ
コーヒー・プログラムについて、ご支援の相談やご質問などございましたら、
以下よりお問い合わせください。
Email: japan@conservation.org